東京フィルハーモニー交響楽団のコンサートで、マエストロ・チョンに再会

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先月17日、94歳で亡くなられた栗田幸雄・元福井県知事の業績の一つに、県立音楽堂(ハーモニーホールふくい)の整備があります。音響設計の世界的権威、故・永田穂氏が手掛けた数ある作品の中でも、大ホールはシューボックス型(文字通り、靴の箱型)のホールの中で最も成功した自慢の一作。氏も「我が子のことが気になってね」と、よく東京からお忍びで演奏会を聴きにおいでになってました。来演した世界的な音楽家の多くがその素晴らしい響きを絶賛しています(福井の人は意外にそこのことを知らない!)。

開館は1997年。大ホールのパイプオルガンは開館後に整備され、2004年に完成しました。東京フィルハーモニー交響楽団がそのお披露目コンサートを手掛けたのですが、20周年を記念して16日に再び県立音楽堂に登場しました。韓国出身の世界的指揮者でオーケストラの名誉音楽監督を務めるチョン・ミョンフンに率いられて、しかも、サン=サーンスの交響曲第3番という彼の十八番であり、パイプオルガンが大活躍するプログラムを引っ提げての来演です。

前半のプロコフィエフのバレエ音楽《ロメオとジュリエット》の抜粋からして、マエストロらしいダイナミックな表現を満喫。交響曲第3番は言わずもがなで劇的に締め括られました。公演後、マエストロの楽屋に。実は、私が創刊編集長を務めた月刊音楽誌『モーストリー・クラシック』誌の創刊は1997年という同じ年で、マエストロとはそれ以来です。

マエストロは音楽一家に育ち、上の姉は世界的ヴァイオリニストのキョンファ、下の姉もジュネーブ国際音楽コンクールで優勝したミョンファ。指揮者として大成したことですっかり忘れられていますが、本人もチャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門で2位を獲得していて、そのピアノも素晴らしいのです。大分・別府で行われている「アルゲリッチ音楽祭」でアルゲリッチとのデュオを聴いたことがありますが、そこで紡ぎ出された響きは、すれっからしのこの耳にいまもこびりついています。

音楽誌なので、マエストロには何度もインタビューをしましたし、食事もご一緒しました。また、ミラノ出張中、大御所のカルロ・マリア・ジュリーニが指揮するコンサートに出掛けて行ったら、マエストロがその代役に立っていた、ということもありました。そして、そうした時にいつも寄り添っていたのが、お兄さんのマイケル。昔話がとても面白い方で、今回お会い出来るかなと思ったのですが、既に引退されているとのことでした。

私にとってクラシック音楽の音楽会に出掛けると、その演奏を楽しむということに加え、昔の仕事仲間、知り合いに逢えるというおまけも付きます。「やあやあ、お互いに歳を取ったね」ということになるのですが、みんな駆け出しながら、若くて熱くて走り回っていた頃の思い出話に花を咲かせるのは楽しいもんです。この日も懐かしい顔ぶれにも再会出来て、ぎゅっと凝縮の昼下がりでした。


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