等身大のニュース解説「ニウスな夜」第110宵は“喰い物にされる医療制度”

20日、21日は等身大のニュース解説「ニウスな夜」でした。基本的に3週に一度のペースで、政治や経済のニュースを解説しています。午後7時からで参加自由なので、仕事帰りにプラっと立ち寄ってください。今回のテーマは、日本の医療制度に“ただ乗り”する中国人が急増している、という話題でした。医療費が42兆円という、国家予算の半分に迫る状況の中、日本の保険制度の行方にはみんな関心が高いですね。きのう21日も参加者が多かったですね。

本来、医療目的で来日する外国人の場合は「医療滞在ビザ」を取る必要があり、その場合は国民健康保険に加入することはできず、日本で受けた医療費は全額自己負担です。ところが、会社を経営するために滞在する場合に発給される「経営・管理ビザ」で入国し、日本に3ヵ月以上合法的に滞在していれば、なんと外国人にも健康保険への加入が“義務付けられる”のです。

しかも、その「経営・管理ビザ」の取得、それがそれほど難しくありません。資本金500万円以上で会社を設立、その代表取締役なら申請可能。そこでペーパーカンパニーを設立してビザを申請する方法が横行しているのです。会社設立に必要な資本金500万円が用意できない人間に対しては、500万円の“見せ金”を一時的に貸し付け、ビザが発給された段階で回収して次の患者に回すということを繰り返し、何人もの中国人を来日させている業者の存在も見え隠れしています。もちろん、国民健康保険に加入するというわけですから、月々の保険料は負担しなければなりません。しかし、前年に日本で所得がない場合、月額の保険料はわずか4000円です。同時に医療費の自己負担は「3割負担」で済むという恩恵まで受けられます。

例として取り上げたのは、日本で肝炎の特効薬「ハーボニー」を使ったC型肝炎の患者さんの件でした。国が定める「ハーボニー」の薬価は5万5000円で、投薬期間は約3ヵ月(12週間)。なので、約3ヵ月分の薬代だけで最低465万円が掛かります。しかし、「ハーボニー」は肝炎医療費助成制度の対象となっており、健康保険加入者は、所得によって自己負担限度額が月額1万円もしくは月額2万円で済む。なので、約3ヵ月分の薬代が最低3万円(1万円の3ヵ月分)で済むことになる。さらにハーボニーの薬代以外の診察料や各種検査費用なども「3割負担」で済む。結果、Aさんの支出は、❶医療費、❷会社設立とビザ取得を代行してくれる業者への手数料、❸滞在費、それらを合わせて200万円程度で済んだのです。

また、国民健康保険には、一定以上の医療費支払いが免除される「高額療養費制度」という仕組みもあります。「ハーボニー」のような医療費助成制度のない肺がんの特効薬「オプジーボ」の薬価は100mgで約73万円(2019年2月以降に半額になるが)。1回の投与では、体重1kgに対して3mgを点滴するため、体重60kgの人であれば約131万円分のオプジーボが必要となる。2~3週間に1回のペースで回復が見られるまで投与されるため、薬代だけで年間3000万円超とされてきました。しかし、「来日したばかりの外国人で前年度の所得がない場合」、高額療養費制度により月額は最大で5万7600円(東京都港区国保年金課)で済んでしまいます。差額はすべて、健康保険から医療機関に支払われているわけです。

1985年までは「国民健康保険の適用要件」は、わずかな例外(永住者、難民等)を除き、基本的に「日本国籍を有する者」だったのですが、翌86年に「日本国内に住所を有する者=住民票のある者」に改められました。さらに2008年の改正で、外国人の住民基本台帳への登録が「3カ月」と変更されたのを受け、2012年の民主党政権の時に「短期の在留外国人」の国民健康保険への加入要件も「3カ月以上」と改められました。つまり、加入を“急かす”方向になってきているのです。

また、在住歴の長い中国人が親を呼んで、日本で治療させるパターンもあります。親が70歳以上なら、老親扶養のための「特定活動ビザ」が出やすいからです。日本企業に就職すれば、会社の健康保険組合(中小企業の場合は「全国健康保険協会」)に加入しますが、健康保険法では本人と生計を一にしている兄弟姉妹、配偶者、子、孫、父母、祖父母、曽祖父母は、“同居していなくても”扶養家族と認め、保険に加入できると定めています。本人から三親等までの親戚も、生計を一にして“同居していれば”扶養家族にできます。つまり、本国に残した親や子などの他、同居している親戚でも加入可能ということです。

この問題の難しいところは、合法な“ただ乗り”であるところです。厚生労働省では、マスコミの取材に「今年(2017年)3月から留学や経営・管理ビザを不正に取得して健康保険を利用している事例を全国の自治体で調査しています。自宅を訪問するなど手間のかかる調査で、まだ結果は出ていません」と回答してますので、いずれ実態が見えてくるでしょう、ただ、国民皆保険制度は元々、日本人のための仕組みです。本末転倒なことにならないよう、制度改革を急ぐ必要があります。

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