日中友好協会鯖江支部で講演

18日に行われた日中友好協会の鯖江支部の年次総会に招かれ、「中国と、どう付き合う」というお題で講演してきました。かつて友好協会は、“竹のカーテン”の向こう側と付き合うための窓口として機能していたのですが、「改革開放」政策が始まって往来が自由になり、商売も自由にやれるようになってからは、これといった仕事がなくなってしまいました。日中国交正常化から半世紀近い時間が経ち、第1世代の会員は鬼籍に入り、第2世代も会員も高齢化、会員数は減っています。中国とは深い縁のある私ですらこれまで友好協会とは縁がなく、会員減でピンチに陥っていると頼まれたこともあって、昨年ようやく会員になったのです。

講演のリクエストはこのところ、一に皇室の話、二に半島情勢の話ということが多く、中国情勢について話をするのは、実は久しぶり。こういう機会があると、改めて調べ物をすることになるので、頭の中をリフレッシュできて感謝です。

中国情勢について話すわけですから、まずは「一帯一路構想」について解説。「一帯一路構想」は中国が史上初めて、自分から世界を囲い込もうと打って出てきた構想です。その後、ペルシャ湾から中国までのシーレーン防衛のための「真珠の首飾り構想」について話しました。「真珠の首飾り構想」は、中国沿岸部からペルシャ湾、アフリカまで、インドを囲うように中国が自由に使える港のネットワークを作っていくという構想です。もちろん、中国海軍が自由に行動できるように、です。実は中国はいまや世界最大の原油輸入国で、日本以上にシーレーン防衛に必死です。

その後、尖閣諸島の話。続いて、南シナ海の制圧について話しました。中国に向かう船団が(艦隊が)なんの脅威を受けることなく自由に通過できるようにしておきたいし、南シナ海最終的に対峙することになる米国に対する抑止力となる核報復力(核ミサイルを積んだ原子力潜水艦ですね)を深く沈める海が欲しいわけです。

敢えて“固い”話を、というリクエストに応えてそんな話をしたのですが、それだけでは私も息が詰まるので、訪日観光客の話もしました。政府観光局によると、2017 年の訪日外客数は前年比19.3%増の2,869万強で、統計を取り始めた1964年以降、最多。トップは中国で735万6000人、続いて韓国で714万人という流れです。中国人の年間出国者数は1億2000万人超、14億人全体の約8.7%。2015年には個人旅行者が団体旅行者数を抜き、18年の現在では個人約7割、団体約3割になっています。日本の自治体、観光地はその取り込みに必死ですね。

知り合いの旅行業者によると、そんな中国人観光客の中でも、日本への関心が強く、消費意欲が旺盛なのはプチ富裕層(世帯収入500万~2000万円)だそうです。2000年代に入ってからの新しい消費スタイルになじんだ人々で、上海、北京、広州といった大都市に住んでいるプチ富裕層の中には何度も日本を訪れている人も多く、エリート間の厳しい競争にさらされている彼らは、日本への旅行に「癒やし」を求めているとのこと。晴れ渡る青空、おいしい空気、澄み渡る星空といった、日本人にはどうということのないものも貴重な観光資源だそうです。海もそう。外洋に面している上海でさえ、青い海を見た経験を持つ人は少なく(流れ込んでいる河の水で茶色)、日本で青い海に接すると感激するそうです。

そうそう、驚くのは、滞在の最後は東京や大阪の超高級レストランで最高のディナーを楽しむ人が多い、という話。高名なシェフのフレンチ・レストランが東京と上海に同時に出店していても、東京の方がはるかに安価で丁寧なサービスが受けられるからだそうです。この話から中国の都市部の物価がいかに高いかよく解りますが、同時に中国経済がいかに巨大かということの証拠でもあります。日中間の経済力の格差は広がるばかり、とため息が出てしまいます。

日本国内に住む中国人は現在、73万人強。ただ、最近は、かつてよく見かけた中国人の「技能実習生」を見かけることも減りました。中国の給与水準が向上し、日本に働きにくるメリットが減ったからですね。巨大な経済力を背景にして国際社会での政治力も増す一方。人口が減少し、経済が萎縮し、外交力、軍事力に劣る日本が、巨大な中国と今後どう付き合うか、とても難しい問題ですね。

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