連載 | 女性宮家が駄目なわけ 3


第3回 … 「女性天皇」と「女系天皇」は、一字違いで大違い!

前回、「女性天皇」について話しました。似たような言葉に「女系天皇」という言葉があります。「女系天皇」とは「母親だけが天皇家出身という天皇」のこと。つまり、女性皇族と婿との間に生まれた子女が皇位を継いで誕生する天皇のことです。そして、そのスタイルを「女系継承」と呼んでいます。

そう、懸命な皆さんにはもうお解りですね。「女系継承」で誕生する天皇は、必ずしも「女性の天皇」ではないのです。「女」という字が付いているため、「女性の天皇」を想像してしまい、勘違いする人が多いのです。世論調査なども、「女性天皇」と「女系天皇」を区別して訊かないので、どちらも「女性の天皇のことだろう…」と混同して「賛成」と答えている人が多いのです。しかし、一字違いで大違いなのです。

このスタイルで誕生するのは、どんな天皇でしょう。それは、歴代天皇が受け継いできた「胤」ではなく、婿の「胤」を受け継いだ天皇です。そして、この「女系継承」のスタイルでは、婿をもらうたびに「胤」が入れ替わるということが起きます。「女系継承」に転換し、婿をもらうようになった場合の「胤」の流れを図3にまとめました。これを見てもらえれば一目瞭然。代が進めば進むほど、色の違う「胤」が加わってきて、皇統がどの「胤」を受け継いでいるのか、もう解らなくなってしまいます。つまり、一度でも「女性継承」に切り替えてしまうと、「男系継承」にはもう二度と戻れないのです。

図3(拡大)
女系継承

「女系継承」に切り替わるとして、女性皇族の夫を皇族にするかどうか、これだけでも議論百出です。もし皇族にするということになれば、婿の「人となり」が皇族に相応しいかどうか、賛成反対の意見が飛び交い、それこそ百家争鳴でしょう。また、女性皇族がもし、外国人と結婚したらどうでしょう。その子女、子孫には皇位継承権があるので、天皇が将来はハーフやクオーターという可能性も出てきます。法律で婿を「日本人に限定」としますか。なら帰化した外国人はオーケーですか? そんな天皇を国民が簡単に受け入れますか? となれば、皇統の安定が大きく揺らぎます。つまり、「女系継承」に切り替えると、問題百出なのです。そうしたことを具体的に想像してもらえれば、婿を皇族にする「女性宮家」の創設が引き起こす事の大きさに「ピン」ときてもらえるはずです。

だからこそ、天皇を含む皇族を、「歴代天皇の胤を受け継いでいる人間」と規定してきたわけです。世の中の男性を「胤」によって「皇族とそうでない人」に分けているわけです。しかし、「歴代天皇の胤を受け継いでいる人間だけが皇族」という動物的で明確な線引きがあるため、自分の意見も反映されないが、他の誰かの意見もまた反映されないという意味で平等、であり、だからこそ、誰もが納得するわけです。

また、「男系継承」の場合、女性は皇族と結婚すると皇族になります。つまり、女性は皇族になれるのに男性はなれないのです。その意味では、「男系継承」は究極の男性差別なのです。にもかかわらず、一部の人はそのことには敢えて触れないようにして、「男系継承」という、男という文字使う言葉のイメージを悪用して、「女性差別」や「女性蔑視」、「男尊女卑」の問題にすり替えて話を組み立てます。つまり、実社会での男女差別に対するルサンチマン(=鬱憤)を、皇位継承問題を通じて晴らそうとしているのです。しかし、その話は、まさに皇位継承の本質から外れた、「ためにする話」です。

日本の皇室を、西欧の王室と比べられる人がいます。しかし、向こうは一般人と同じ「血のレベルで家を嗣ぐ」スタイル、つまり「女系継承」なので、実はまったくの別物です。英国のエリザベス女王の夫君であるフィリップ殿下はギリシャの皇子で、チャールズ皇太子は(彼が即位する場合が「女系国王」ということになります)エリザベス女王の父ジョージ6世の「胤」ではなく、フィリップ殿下の「胤」を受け継いでいて、それをたどるとドイツ系です。今後、さらにその「胤」が変わる可能性も、もちろんあります。

これに対して、日本の天皇家は125代にわたって「歴代の胤を受け継いでいる」本物の王家です。しかも、世界最古の王家であり、そんな王家が存在するのは、世界で日本だけなのです。私は「呼吸する世界遺産」と呼んでいますが、西欧の王室などに比べて日本の皇室の方がずっと格上。それもこれも「男系継承」あっての話です。それを敢えて、「女系継承」に切り替える必要がどこにあるのでしょう。


  田中の仕事 2018 
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